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存在論的、郵便的(マンガ版)レビュー
存在論的、郵便的(マンガ版)は、さすがPost Officeは違うなといったそんな印象です。
久々に第一印象で買ってしまいました^^;
無題
近年、猿でもわかる、誰でもわかるシリーズ等の思想関連書が数多く上梓されているが、思想の文脈を単純化・通俗化して語ろうとする場合に伴う不可避的な蹉跌で、何が置き去りにされるかと言えば、理論であり、概念である。しかし、本書は、そういった単純化された書物の中にあって、もっとも根本的に学術的な書物のレトリックな虚飾を捨象し、タームの上にタームを積み重ねていく思想の無闘争的なレベルの、ある種のアンチとして、あえてそれをマンガで語らせることで、非常に上手く、そしてエッセンシャルに原基的な幾つかの要素に還元している。第一章の「幽霊に憑かれた哲学者」?第四章の「存在論的・郵便的」、果てはあとがきまで、わずか108ページの中に確実に網羅さている。マンガの技術的には、お世辞にも上手いとは言いがたいが、1コマ1コマのレイアウトの解り易さ、ページ運びの巧さ、両方のレヴェルに於いて、センスが良く、あえてマンガという手法を通して書かれた入門書の中で、難解な理論をここまで簡単かつ面白く解説した本は、他に無いであろう。
30分で分かる「存在論的、郵便的」
絵がアレだし値段も高めに思われるかもしれないが、内容はちゃんと『存在論的、郵便的』における重要なエッセンスを忠実に取り出し、分かりやすく解説されている。
原著を読んでる人は復習・再確認として、まだ読んでない人は予習・入門、あるいは読んだつもりになるためのリーダーとして利用されるとよいと思われる。
原著では「エクリチュール(文字)」というジャック・デリダの概念が重要視される。本書がこのような形で「イメージ(絵)」でも「シンボル(言語)」でもない「キャラクター」を用いた「マンガ」というメディアで描かれたことには何か重要な意味が込められているかもしれないし、別に作者はそんなことあまり考えてないかもしれない。
余談になるが、僕が哲学とか現代思想に興味をもったきっかけもマンガを通して、であった。あれはたしか『空想哲学読本』とかいう本だった。あとアインシュタインも小学校のときに親にマンガの入門本を買ってもらってたし、高校のときはラカンについて知りたかったが文字だけの入門書を読める気がしなくてマンガの解説書を自分で買った。
「マンガ」というメディアは内容に関わらず敷居を低くする効果があると思う。「現代思想」なんて言ってみれば誰でも分かるようなことを小難しく書いてるだけ、と言ったら怒られるかもしれないが、そういう面もあることは確かで、実際こうやってマンガを通した方が伝わることがあるのだから否定はできない。
そういう意味でもこういうマンガでの『存在論的、郵便的』の解説書が出たのは喜ばしいことだ。これがきっかけでもっと多くの人に原著の思想が郵送されることを祈る。
そういえば本書の表紙には作者の名前が載っていない、表紙だけ見ると東浩紀の本と勘違いされそうだ。デリダは名前に関係なく思想が流通することを目指していたと聞いたことがあるが本書の表紙はその実践だろうか。
Post Officeにしては、¥ 2,000と値段もお手ごろですので、お勧めです。
存在論的、郵便的(マンガ版)
木棚 環樹

定価: ¥ 2,000
販売価格: ¥ 2,000
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おすすめ度: 
発売日: 2006-09-20
発売元: Post Office
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